英進塾_先生ブログ

英進塾の講師によるブログです

アメリカでのお話(9) ≪The Northern Lights≫

 一年目は、真剣に冬を越せないと思っていたミネソタでの生活でした。しかし、慣れというのは不思議なもので、二年目になるとだんだん寒暖計をみなくても、その日の気温がわかるようになってきます。たとえば、木製の二重窓を開けて、顔を出し、思いっきり鼻から息を吸った時に鼻の粘膜が凍るようなら、-10℃を下回っています。晴れた空にキラキラと光るものが見えれば、それはダイアモンドダストです。気温は-20℃以下です。こういう日は手袋は二枚重ねにしないとすぐに指先の感覚がなくなってきます。


 極寒の中では、自動車のバッテリーももたないため、短時間の駐車はエンジンをかけたままにしておきます。
夜、車を外にとめるときは、バッテリーを温めるためのヒーターをつないでおくことは必須で、寒波の予報が出ているときなどは、バッテリーを車から外して家の中に置いたものでした。寒さのためにバッテリーが上がり、エンジンが始動せず、ロードサービスに応援を求めることはしょっちゅうでした。


 そんな、寒〜いミネソタの冬の一番の思い出は、オーロラです。太陽の活動が活発になる時期には北緯46度(北海道の稚内よりも北になります)くらいでもオーロラが観測できます。地元の人はノーザンライトと呼んでいます。毎日の天気予報でノーザンライトの予報が出ると、防寒用の重装備で身支度を整えてから、学生たちは街灯やネオンなど町の明るい光のない郊外へと、車で向かいます。


 真っ暗な夜空の北の方角がかすかに明るくなったと思うと、赤い光の輪が現れては、消えます。別の場所では緑や黄色の輪が現れたり消えたりしています。地元の学生は、これもノーザンライトだと教えてくれました。気温は-20℃くらいにもかかわらず友人たちの歓声と、初めてみたオーロラの美しさは言葉にはできないほどの感動でした。


 別な日には、テレビで見たことのある北極地方に現れる、エメラルドグリーンのカーテン状のノーザンライトも観測することができました。風もないのにゆっくりとゆれ、それに伴い、カーテンの色も変化する様は圧巻で、まさに大自然の神秘を体感できた素晴らしい体験でした。

LESSON 9 ミネソタの 夜空を彩る 北極光