英進塾_先生ブログ

英進塾の講師によるブログです

アメリカでのお話(17) ≪Freezing Rain≫

 ミネソタ州のある、アメリカ中西部地方は典型的な内陸性の気候、つまり、冷帯に含まれます。夏は青森と同じくらいの気温と湿度がありますから、蒸し暑い夏です。雪の多い青森の冬は寒いと思いますか?実際、降雪量は多いし、吹雪が続く「しばれる」イメージですが、実は青森の1月の平均気温は−2℃です。ここ青森は海の近くにあるために、それほど、気温が低くならないのです。


 これに対して1月のミネソタの平均気温は-13℃。地理の授業では夏冬の気温差が大きいと、雨温図では覚えていたはずでしたが、緩やかに気温が変化する四季のある日本しか経験したことのない自分には、かなり驚きでした。つい先日まで暑かったはずなのに、一日ごとに寒くなり、9月下旬には霜が降りたり、気温が氷点下になる日もあるのです。そんな中でも「Freezing Rain」を初めて見たときには、本当にびっくりしました。「Freezing Rain」は見た目は雨ですが、地面に着いた瞬間に凍りつくのです。つまり、雨が降り続いている間、道路は文字通り、スケートリンクのように凍結してしまうのです。スタッドレスタイヤは全く役に立たず、道路のわずかな傾斜でも車が低い方に移動してしまいます。歩道もツルツルで歩けなくなってしまうのです。


 気温が低くなると、あられや雪が降ると思っていましたが、なぜ、こんなことになるのか、下宿の大家さんのミルドレッドに聞きました。80歳を超えても毎日車でスイミング通うほど元気で魅力的な彼女は、広大な小麦農場を持っているため、気象に詳しいのです。彼女の説明によると、交通障害になるような「Freezing Rain」はある特定の条件がそろった時に、まれに起こるのだそうです。湿った空気があるところに、カナダの方から強力な寒気が急に入り込むと、雲の中の水滴が氷点下になっても凍らない「過冷却」の状態になるのだそうです。降った雨は、地上に触れた瞬間に、氷に変化し、アイスリンクになるのだそうです。所変われば「気象」も変わります。こうして、ミネソタの最初の「衝撃の冬」を迎えることになります。



http://www.youtube.com/watch?v=KwbFWq2YLb4
(これはユタ州のFreezing Rainの様子です)