英進塾_先生ブログ

英進塾の講師によるブログです

アメリカでのお話(16)≪Summer School≫

 アメリカの大学は9月に新学期が始まります。秋学期、冬学期と続き、春学期は6月に終わります。学生は日本のように親からの仕送りに頼る生徒はほとんどなく、奨学金と夏の間のバイトで自分の学費を賄います。そのために、春学期が終わると学生たちはそれぞれのバイトの旅に出かけます。「それじゃ、また、秋に会おうね!」「今年はどこ行くの?」「今年はフロリダでライフセイバーのバイト。」という会話とともに、大学の寮からは次々と友人たちが出ていきます。しかし、大学は6月から9月まで休みではありません。サマースクールと言って、単位の取れる正規の講義が開講されています。アメリカの大学は入学の条件さえ満たしていれば、人種、性別、年齢による制限は一切ありません。ある分野に優れている生徒であれば、飛び級で進学しますから、年下の同級生というのは珍しくないのです。


 先日、アメリカの友人から参考になればと、あるYouTubeのURLが送られてきました。http://www.social-consciousness.com/2013/02/fifteen-year-old-invents-cancer-diagnosing-method.html 彼はアメリカに住む15歳の高校1年生です。彼は、肺がん、卵巣がん、すい臓がんを今までとは全く異なる方法で、費用も時間もかけずに検査する方法を発見したのです。ある高校生の勇気ある行動を紹介します。


 彼の研究のきっかけは身近な人の突然の死でした。そこから、彼はなぜ、人の命は突然奪われるのか?とう疑問を抱き、その疑問を可決すべく、Googleで様々なことを調べ始めます。彼がたどりついたのは、現在のがんの診断方法は60年前と基本的には何も変わっていないということ。時間と費用がかかっている間に、多くの人が苦しみ、命を落としているという現実でした。そこで彼はがんとは何か、発生した時にはどのような兆候が見られるのかということを調べ始めました。もちろん、周りには相談できる人はいないので、彼の素朴な疑問に答えてくれるのはGoogleの検索でした。


 紆余曲折がありましたが、最終的に自分の発見方法をまとめた時に壁となったのは、その方法を実証する場所でした。彼は200以上の大学に自分の研究の目的と、実証の場所の提供のお願いの手紙を出しましたが、199の大学に断られ、彼の研究の意図に同意し許可をくれた大学はわずか1つでした。机上の理論通りには実験は行きませんでしたが、結局7か月後に彼は、1枚約3円の試験紙、しかも5分間で、90%に近い確率でガン特有のタンパク質を突き止める検査方法を確立したのです。


 友人から紹介された、この高校生の行動を見て、現状を変えたいという強い意欲と、好奇心が常識という壁を破ることができるということを、あらためて教えてくれたような気がします。