英進塾_先生ブログ

英進塾の講師によるブログです

アメリカでのお話(10) ≪The Madrigals≫

 ミネソタ大学では、マドリガル部に所属していました。マドリガルとは、男女混成16人の無伴奏合唱部です。ただの合唱部ではなく、ミュージカルのような振り付けがあったり、セリフ付きの寸劇があったりと、今までは説明が必要でした。でも、アメリカのテレビドラマ「glee」を見たことがある方は、イメージできるのではないかと思います。


 オーディションで選ばれた16人の中に、唯一の留学生として参加できましたが、練習は留学生だからと、何のハンディもありませんでした。各パートが4人ずつしかいないために、声が出ていなかったり、ハーモニーが合っていないと、音楽監督の先生から厳しい指摘があるし、動きに迷いがあると、振り付け担当のコエオグラファーの先生から励ましの「Once more!」の声がかかります。各学期ごとにあるコンサートツアーのために毎回20曲くらい、自分のパートと振り付けを覚えるのはとても大変でした。


 でも、毎日の練習は決して厳しいだけではなく、むしろ楽しいものでした。まったくのゼロの状態からスタートし、少しずつ完成した作品に仕上げていくためには、みんなが同じ気持ちで毎日、目標を持って練習を積み上げていきます。お互いに励ましあい、うまくいくためにはどうすればよいか、常に考えて練習していたように思います。
ハーモニーも動きも、完璧に合った時には、歌っている自分たちが鳥肌が立つくらい感動したことを今でも思い出します。地元の小中学校や、コミュニティセンターなどの小さなホールでのコンサートツアーでした。観客の皆さんの喜ぶ笑顔や、アンコールの拍手があるからこそ、妥協しない厳しい練習にも耐えられたのだと思います。


 音楽監督だったアシュワイラー先生は、大学での教授を退官後、80歳を超えた今でも、現役で国内外で活躍している歌手を育て、精力的に合唱指導にあたっていらっしゃいます。毎年のクリスマスカードでの結びの言葉は「Nobu はいつアメリカに来るの? 私が元気なうちにまた、一緒に歌いましょう。」なのです。音楽という素晴らしい世界と、努力する喜びを教えてくれた先生にはいくら感謝しても、しきれないくらいです。当時の楽しい時も、苦しい時も一緒に過ごした仲間は、今でも国境を超えた親友たちです。

 LESSON 10 時経ても 緊張、感動 忘れない!