英進塾_先生ブログ

英進塾の講師によるブログです

アメリカでのお話(14) ≪Tornados≫

 ミネソタ州のあるアメリカ中西部では、毎年5月から6月にかけて'Tornados'(竜巻)がたくさん発生します。
このアメリカ中西部は、北極からの冷たい空気とカリブ海からの暖かい湿った空気が衝突する地域です。この両方がぶつかり、大気が不安定になった時に竜巻が発生しやすくなると言われています。また、中西部の上空には、ロッキー山脈を越えて乾燥した偏西風が吹いています。このため、上空に行くに従い、風向が時計回りに変化することが多くなります。このような気象条件の時は、積乱雲が回転しやすくなります。これらの気象条件が揃う機会が多いこの時期に、強力な竜巻が多数発生するのだそうです。


 ミネアポリス、セントポールといった大都市は別ですが、竜巻の多い地域では、郊外の民家には二階建ての建物は少なく、平屋の建物が多く、そのかわりに地下にリビングルームや寝室を設けています。竜巻が発生して近づく可能性がある場合は、街の防災無線で、建物の中でも、外でも聞こえるように大音量でサイレンと警報が鳴り響きます。人々はそのサイレンを聞くと、ただちに地下室のような安全な場所に避難して、その後の安全が確認されるまでそこにとどまります。間違っても外に見に行くような人はいません。地震の震度のように、竜巻の大きさも、枝が折れるくらいの時速100㎞くらいの風速のF0から、家や自動車を根こそぎ持ち上げる時速400㎞を越える風速のF5まで細かく分かれています。一瞬の判断の誤りが生死にかかわることを知っているからです。


 私が、大学の体育の授業でゴルフコースに出ていたある日のことです。空が突然真っ暗になり、生暖かい強い風が吹き始めました。私たちは気にせず、ゴルフをしていました。突然クラブハウスのスピーカーから竜巻警報が出て、直ちに安全な場所に避難するように言われたのです。とにかく、クラブハウスまで戻らないと、身を隠すような場所は何もありませんでした。落雷の可能性もあるので木の下も安全ではありません。みんなに声をかけながら、何とか全員たどり着きました。そして、竜巻の進路予想はまさに私たちのいる大学のゴルフ場の方向だったのです。幸運なことに実際の進路は、何キロメートルか離れていましたが、直接肉眼で竜巻を見たのはその時が初めてでした。生きた心地がしなかったことや、竜巻には慣れているはずの地元の生徒たちも真剣にお祈りを始める姿は今も鮮明に覚えています。



LESSON 14 竜巻の 猛威の前に 立ち尽くす